クルマのブログ

クルマに関するあらゆるわかりにくいことについて解説します

空気密度の話 気圧と温度

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車が内燃機関を積んでいる以上、燃焼という過程が無いと車は走りません。今回はそんな燃焼に必要になる空気についての話です

 

空気密度とは?

 

空気密度

1立方メートルの空気が有する質量。密度の単位としてkg/m3を用いる。例えばO℃のときの1m3の空気は約1.25kgであるので、空気密度は1.25kg/m3となる。温度が上昇して17℃になると1.20kg/m3のように空気密度は小さくなる。エンジンにおいて、同じ体積の空気を吸入しても温度や気圧が異なれば重量に差が出てくる。このとき、温度が低く気圧が高いほど吸入空気の質量が大きくなるため、より多くの燃料を燃焼させることができ、出力が増大する。また、過給は密度の高い空気をエンジンに供給することである。
『大車林』より

 

つまり、同じ体積中の空気の詰まり具合のことを、空気密度と呼びます。

温度と気圧によって、この詰まり具合が変わります。

 

前提「空気密度は気圧に比例し、気温に反比例する」

同じ気圧で温度が高い場合
空気密度は低い(空気が膨張する)

同じ気圧で温度が低い場合
空気密度は高い(空気が収縮する)

同じ温度で気圧が高い場合
空気密度は高い(空気が詰まっている)

同じ温度で気圧が低い場合
空気密度は低い(空気がスカスカ)

 

空気密度と標高の関係

気圧は標高が高くなると、低下します。

山に登ると酸素が薄い、というのは、まさにそのためです。

 

どういうことか、というと…
気圧というのは、単位面積当たりの空気のかかる大きさのことです。

標高0地点だと、そのぶん、同じ面積あたりでは空気がより多くのしかかっていることになります。

 

もし標高が100メートルだとすると、同じ面積あたりでは0メートル地点よりも高さ100メートル分だけ空気が乗っている量が少ないですよね?

 

標高が高くなると気圧が下がる、というのは、まさにこういうイメージです。

 

山に登ると気温が下がる、ということがあります。

 

標高100m = -0.6℃
標高1000m = -6℃
標高2000m = -12℃
標高3000m = -18℃

 

こうして気温が下がるのは、空気の層が関係します。

太陽の光は空気をすり抜けて地面を直接暖めます。

暖められた地面が今度は空気を暖めるので、地面に近い下の層ほど高温、地面から遠い上層ほど低温となります。

まさに、標高が上がるにつれて気温が下がるのは、こういうことです。

 

なお、
空気密度は気圧に比例し、気温に反比例するのなら、標高が高いと気圧が下がり(密度低下)、温度は下がる(密度上昇)のですが、一体、空気密度は上がるのか下がるのか?という疑問があります。

 

実際は、
圧力の低下による密度の低下の方が、温度の低下による密度の上昇よりも影響が大きいので、標高が高いほど空気密度が低下していくことになります。

100メートル標高が上がると
気圧は約0.01気圧低下(空気密度は1パーセント低下)
温度は0.6度低下する(空気密度は 0.6*1/273 ≒ 0.00219 約0.22パーセント上昇)

1000メートルだと
気圧は約0.1気圧低下(空気密度は10パーセント低下)
温度は6度低下する(空気密度は 6*1/273 ≒ 0.0219 約2.2パーセント上昇)

 

気圧低下による空気密度低下の割合の方が大きいので、標高が上がると空気密度が低下する

 

天候による空気密度の差

車で出かけようとするとき、大抵、家から出発するので、同じ標高の地点から出発することになりますよね。

だとすると、天候による気圧変化は、どれくらい空気密度に変化を及ぼし、その結果として燃焼にどのような影響をもたらすのでしょうか?

 

天候と気圧

標準気圧 大気圧の国際基準値は1013.25ヘクトパスカル
日本の場合、冬は1020ヘクトパスカル、夏は1008ヘクトパスカルくらいです

冬の方が気圧が高いですね!

 

冬の方が温度も低いので、空気密度が高いことになります

(逆に夏は気圧が低く気温が高いので空気密度が低い)

 

おそらく、気圧変化と言っても0.01気圧の変化なので、車の走行には影響はほとんどないでしょう

むしろ、気温の変化の方が影響が大きいです

 

 

どの気体でも、圧力が一定の時、温度が1℃上昇するごとに0℃のときの体積の273分の1ずつ膨張していくことになります

冬場 気温0度の場合に空気の体積を1とすると、
夏場 気温30度の場合、1+(30*1/273) ≒ 1.1098 つまり体積は約1.11倍

密度は1/1.11 ≒ 0.900 約0.9倍

気温が30度になると、空気密度は0.9倍にまで下がる、ということです。
逆に、気温30度から0度になると、空気密度は1/0.9 ≒ 1.11 約1.11倍です

 

冬場の寒い時は、夏の暑い時よりも空気が11パーセントほど増すことになります

なので、単純計算だと、空気がそれだけ入るので、出力も11パーセント上がることになります

 

空気密度で気をつけるべきことは?

 

おそらく、極端に標高の高いところに移動しようとする場合は、空気密度が下がるので、エンジンの燃焼が低下します。

気温低下による密度上昇よりも、気圧低下による密度低下の方が影響が大きいので、平地から高地への移動の際は、出力低下にご注意ください。

 

まとめ

同じ標高なら、天候による気圧変化の影響は1パーセント程度
むしろ天候による温度変化の方が影響が大きい(冬場と夏場の差は11パーセントほど出る)

標高が高くなると、温度低下による影響よりも気圧低下による影響の方が大きくなる
標高100メートル上がると空気密度は0.78パーセント低下
標高が1000メートル上がると空気密度は7.8パーセント低下
さらにここにその標高地点での天候による温度変化が加わることになる

 

なので、
低地にあって車を使用する場合は、気圧変化ではなく気温変化による出力の変化に注意
高地にあって車を使用する場合は、気圧低下の影響が著しいので、出力の低下に注意

 

 

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